2006年12月08日

ハイジの白パン

「ハイジの白パン」というものがある。

我が家の双子も好きで良く食べる。

いったいどこのパン屋が始めたものか、
それとも料理研究者が言い出したのなのか、
よくわからないが、
とにかくふわふわの真っ白いパンである。

もちろん出典は「アルプスの少女ハイジ」の中の

いつも固い黒パンばかり食べているペーターのおばあさんに
柔らかい白パンを食べさせてあげたくて、
ハイジはクララの家で出された「白パン」をこっそり戸棚に隠した


というエピソード。

私はこの物語を小学生の頃に読んで、
「黒パンは甘くて美味しいのに」
と首をかしげた。

黒パン黒糖パンを間違えていたからだ。

ちなみにハイジに出てくる「黒パン」は
ドイツやスイスに行けば、食べられる。
特に現地の人が使うようなこじんまりしたホテルの朝食には、
この「黒パン」しか出てこないので、
私などはドイツ旅行3日目にして
「フツー食パンが食べたいよ〜」
と泣き言を言ってしまった。

ライ麦や小麦の全粒粉を使ったパンで、
黒というか焦げ茶色なのだが、とにかくボソボソして、
ゴムぞうりのような変な弾力がある。
穀物(ライ麦)の香りと風味がとても強い。
普通に日本でふんわりしたパンを食べなれている身には
どうにも美味しくない。

日本で売られているライ麦パンどころじゃないので、
ドイツに行く折があったら、
ご賞味あれ。

ハイジの時代には、山に住む人々にとってはパンもご馳走で
保存食でもあったそうだから、
あのパンがさらに固くなるのだ。
そりゃあお年寄りに食べさせるのは酷だろう、と思う。

で、白パンというのは、
ライ麦粉や全粒粉の黒パンに対して、
真っ白い小麦粉で焼いたパンのこと全般を指すらしい。
なにも「ハイジの白パン」として売っているような
ふわふわなものではなくて、
給食のコッペパンみたいなものなのかもしれない。

食べ物の誤解というのは
ところ変われば常識が変わるの典型例みたいなものだ。
そういえば小学生の頃、
ゴッホの『貧しい食事』という絵の解説に
「ジャガイモとバターだけの食事風景」と書いてあったのを読んで
ずいぶん贅沢な食事だなぁ〜と
無邪気に思ったことがある。

ジャガイモとバターなんて、
縁日で食べるか北海道で食べるもので、
つまり私の中で「ご馳走」だった。
ジャガイモとバターというのが
日本で言ったら「醤油かけご飯」なのだと知ったのは
けっこう大きくなってからだった。
マリー・アントワネットの
「パンがないならお菓子を食べれば」を
非難できない。


ところで……
クララの家でのハイジの振る舞い(とくにアニメ)を見て
ロッテンマイアさんと一緒になって
ハイジを注意したくなったとき、
あぁ、年取ったなぁ……と思ったのは私だけだろうか。




posted by ルクレツィアの娘 at 17:56| Comment(1) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然お邪魔いたします。ナナ・レイノと申します。たまたま見かけたブログの記事を見て、少し気になったので、行きずりの他人の分際でコメントを書かせて頂きます。御気分を害されるかも知れませんが、ご容赦下さいませ。
「じゃがいもとバターの食事」は「醤油かけご飯」というよりNHKドラマ「おしん」で有名になった「大根飯」という方が近いと思われます。
あちこちの歴史本やトーマス・マンの小説「ブッデンブローク家の人々」を読んで受けた印象は(あくまで私個人の、ですが)
白パン(精製された小麦だけを使ったもの)→白米。
全粒粉パン(精製されてない小麦を使ったもの)→玄米あるいは米入り麦飯。
黒パン→米入り麦飯あるいは平麦麦飯(私の実家の当たりの言葉で精製してある麦を使った麦ご飯)。
オートミール→丸麦麦飯(精製されていない麦ご飯のことを私の実家の当たりで、こう呼びます)。
じゃがいも→大根飯。
というものでした。(あくまで私見ですが。)勿論、下になるほど、貧しい人々が食べる食物 というわけです。
ところで「醤油かけご飯」は確かに「ちゃんとした料理」とはいえませんが、かつては日本でも「白米のご飯」というだけで「御馳走」だった時代があったのです。「ああ野麦峠」という映画で、貧しい農家の出の女工さんたちが「米入り麦ご飯」を「お米のご飯だ。おいしい、おいしい」とおいしそうに食べている場面が忘れられません。無論、あれは女工役の女優さんたちのお芝居です。だから、本当の女工さんたちは「米入り麦飯」という「粗末な食事」を「おいしい、おいしい」と言って食べただろうと思います、きっと映画の女優さんたちの何倍も。
だからどうだってわけじゃないんですが、「ワーキングプア」だの「不況」だのと言われながら、この国の人々は「貧しさ」というものを忘れてしまったのかな、と思うと、あの女工さんたちにすまないような気がして……。勿論、私も「貧しさ」を知らない現代日本人ではありますが、せめて、知識としてだけでも「貧しさ」「貧しかった日本」を知って、子孫に伝えていけたら、と思うのです。
長々と駄文を書き込みました。乱文乱筆お許し下さい。御気分を害されたらお許し下さい。失礼します。
Posted by ナナ・レイノ at 2011年03月07日 21:09
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