2007年11月25日

ジェンダーと言葉(1)

日本語学校で一番最初に習う言葉が
「ぼく と わたし」であることは有名だ。
そのことをよく怒っている人がいる。

英語では「I」の一語でしかないのに、
日本語を習う一番最初に男女区別をしようとするのはおかしい、
というわけだ。

「女流」という言葉がまだ健在のように
日本語が隠し持つ男女不平等や男女差別ってのもあるけれど、
それは英語も多くのヨーロッパ言語も
男性形が無標で、女性形が有標なのだから同じような程度だと思う。

自称名詞に関しては
私はむしろ日本語ってすごいと思っている。
「わたし」「わたくし」「ぼく」「おれ」「わし」「うち」
などなどを使い分けることによって
自分が主体的に演出できる。
女の子が「オレ」を使うことに目くじらを立てられる半面で、
それがその人の立ち位置を表現し得る。

だからそれ自体はジェンダーかもしれないが、
逆にトランスジェンダーを容易にする。

英語は逆である。




なにしろ英語というのは
「He」と「She」を分けて使うようになっていて、
コミュニケーションをするときには
対象が女性か男性かを区別しなくてはならない。
「Mr.」と「Ms.」が付くのだってそうだ。
その人のことを漠然と指す場合にも
とりあえず分けなくてはいけないところが、
日本語よりキツイ。

日本語だと「あいつ」とか「あの人」とか、
曖昧な言い方も出来る。

私なんて作家の塩野七生を
高校生の頃は男の作家だと思っていたけれど、
同級生たちと感想を話すときには
「塩野さんの作品は」「塩野さんの新しい本は」と言っていて、
なんの語弊もなかった。
そのぶん誤解に気付くのが遅れただけである。

英語で話していたら、それは有り得ないだろう。

そういうわけで、
英語が素晴らしいと思っている人が、
「ぼく と わたし」に関して
日本語叩きをする理由が、
やっぱりよくわからない。
posted by ルクレツィアの娘 at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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